稀記

坂口美紅です。

カーテンとレースと網戸を開けて

小さなこの部屋に流している音楽と、月の前を過ぎる雲とのテンポがおんなじで、なんとも心地が良い。

 


カーテンを開けた時は雲の向こうだった月が

直ぐに前へと進んできた。

 


月はとても遠くにあるはずよね

だけども今、

月と私の間にはうす〜いレースの様な雲だけ

それだって。掴めないようなふわふわしたものが重なってできた影。

月に比べると、

それでも雲の方がとっても近くにあるのよね、不思議

あんなに遠いのに

 


ジーッと月を眺めていると、

私が向こう側にいても、

同じように私の事が見えるのかなと

誰かと、私と、見つめあっている気がする不思議

 


そうして、月は一つしかないのよねと

今同じように見つめているのが、何もこの近くのでなく、日本の、でなく

どこかの国の、街の、通りの、だれかであったりもするのよねと

ましてや今は、

太陽を浴びているという人もいるのよねと、

そんなことを思うと、なんだか

 


ただバイトの連勤を終えて、明日は休みだからと夕涼みしている今晩も、大きな奇跡の中にあるような気がしてくる。

 

月がまた、雲の向こうに滲んだとしても

先に、奥に、光が見えているというのも、いいものですね。

 

 

 

おやすみなさい、今日も