稀記

坂口美紅です。

穴のないドーナツと蟻の胃袋

いつか飽きられる事を恐れだしたのは、私が私に飽きているからで、自覚し始めたからだ。

近頃帰りは決まってこんな気持ちになる。

鼻下まで海水が溜まってる体。今にも口と目から零れてしまいそう。

焦っている割には、つまり怠惰なんだ。

こんな面白くない顔をしている奴、誰が面白いと思ってくれるの。必要としてくれるの。

 

あー、必要とされたくて気張るのも良いやな

 

それはそうと、私は思ったより初対面が苦手だ。

思っていたより会話が出来ない。

いや思ってはいたけど、、

第一声が出ない。沈黙から始まる。目を見れない為、人と話す時顔をみるのは必然なのに、目が合う事が一つのドッキリみたいになってしまって、合ったが最後、目線を外せない。

言葉も出ぬまま目だけ合って体が固まってちょっとニコニコする。

思考は停止する。

私がはなしを出来るのは同じタイプの、言葉が要らない人だけだ。もしくはそれを許してくれる人だけ。

だから、例えばバイト先の人のような人とすぐに馴染めない。

方法が分からないから許してくれるのを待っているんだろうな。

いつもそちらに逃げてしまう。

 

初対面で何度かイラッとさせてしまう瞬間。お腹の空いた蟻になった気分。

心の中で何度も謝る。

何なの?って思ってますよね、でも方法が分からなくて。

ごめんなさい。頑張ります。だからどうか嫌いにならないで。って

 

そう、私は昔から、嫌いにならないで。って過ごして来た事に気付いた。

思っているより臆病だった。そしてひょうきん者と言われていた。

最近母に、昔の美紅に戻ったみたいと言われた。

反抗期を脱した私は昔のひょうきん者に戻ったのだ。なんか変な感じだけれど確かにそうだ。これが安心するんだろうな。

人に笑って欲しくなる。

 

とかいいつつ、何の解決策も見つかってませーん。誰か私の腕を引っ張ってくれーい。

 

因みに滅入っている訳じゃない。むしろ闘士満々に行きたい。

明日からの撮影の為、単身鳥取行きの高速バスの中。一つだけ買っておいた特別なドーナツをゆっくり食べて、とてもリッチな気持ちであぁなんだか大人になった気分だと、粉砂糖の着いた口でニヤついている。

 

さあ、明日からしばらく18歳の高校生になります。画面の中で、若々しく、行きましょう。

 

そんだば、散ッ!


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